
世界に誇る地元企業の資金調達をサポート
ウイスキー貯蔵庫建設のための大型融資
株式会社ベンチャーウイスキー さま
世界に誇る秩父発のウイスキーブランド『イチローズモルト』。この商品を生み出したベンチャーウイスキーは、破棄される運命だった400樽のウイスキー原酒を買い受けて立ち上げられました。世界中からの評価に伴い年々生産量を伸ばしていた同社から、「第七貯蔵庫」建設の資金調達を打診された武蔵野銀行。取引金融機関がそれぞれ積極姿勢で融資条件を提案する中、最終的に金利で勝るメガバンクをおさえて融資を勝ち取り、当行が応援できた背景とは。プロジェクトの真相や成果について、当時、秩父支店で同社を担当していたT.Yさんに話を伺いました。

プロジェクト発足背景
世界的な地元企業に、
支援の手をさしのべられるか。
― ベンチャーウイスキーへ融資することになった背景を教えてください。
はじまりは2018年でした。『イチローズモルト』の世界的なブランド力が高まり、従来の第一蒸留所だけでは生産が追い付かなくなったタイミングで、第二蒸留所建設の融資を実行。その際のスピード感や条件面を高く評価いただき、2020年に第七貯蔵庫建設の資金調達の打診を受けました。従来の貯蔵庫に比べて3倍の広さを誇る貯蔵庫ということで、投資額はこれまでにない規模のもの。世界的企業となった同社には、メガバンクを含む他行も積極的に融資の提案が来ている状況でした。
― 当時の課題について教えてください。
ウイスキーは原酒を数年、数十年かけて熟成させるため、在庫の回転期間が長くならざるを得ない業態です。第七貯蔵庫の投資額の大きさも関係し、当行の基準では融資の判断が難しく、さらにメガバンクが圧倒的な金利条件で提案しているという状況。「入札に参加することさえ難しいかもしれない」と思い悩んでいたところ、お客さまから「入札に参加できなくても、これまでの関係は変わらないから」となぐさめられてしまうほどでした。

実現ストーリー
オール武蔵野銀行で挑む。
地方銀行ならではのソリューション。
― どのようにして課題を乗り越えたのですか?
営業所に戻り上司に相談したところ、こう告げられました。「このまま負けていいのか?地元が誇る世界的な企業に対して、地元の金融機関である我々が融資しなくてどうするのか」と。この言葉に刺激を受け、「メガバンクに対抗できる条件をまとめ上げてやる」と奮起。自らの足でバーや居酒屋を回ってイチローズモルトを味わい、飲食店オーナーや愛飲者から話を伺うことで、ベンチャーウイスキーの優位性を腹落ちするまで理解しました。また、改めて貯蔵庫を見せてもらうなど、様々な角度から事業の本質を見極めたことで、自信を持って稟議書をまとめられました。
― どのような条件を提示したのでしょうか。
金利の条件だけでは勝負できないと考え、武蔵野銀行ならではの秘策を考え抜きました。ベンチャーウイスキーの社長が常日頃「地元産の大麦を使ったウイスキーを作りたい」と仰っていたことを思い出し、農業事業者の支援を行う地域サポート部に連絡。大麦を栽培する農家をご紹介し、付加価値を提供しようと考えたのです。また、ウイスキーの製造工程で発生する産業廃棄物を二次利用する企業も紹介し、SDGsの取り組みに貢献できるよう提案。できることは全てやり尽くしたという思いで、入札結果を待ちました。

実現したことによる成果や反響
銀行がハブになり、地域一丸となるプロジェクトの喜び。
地元密着の金融機関だからこそできる、お客さまへの寄り添い。
― プロジェクトの結果をお聞かせください。
入札締め切りから数日後、「武蔵野銀行さんにお願いしたい」と連絡を受けました。その瞬間、プロジェクトに関わったメンバーと喜びに沸き立ちましたね。資金調達と大麦農家紹介の両面で支援する点が評価され、「地元密着の金融機関ならではの提案だった」とお褒めの言葉をいただけました。何度もお客さまの元に足を運び、地域サポート部と連携したことで、他行にはない条件を提示できたことが成功の要因だと思います。
― この経験を通じて成長できた点はありますか?
それまでもお客さま目線で取り組んできたつもりでしたが、当プロジェクトを通じて改めてお客さまに寄り添うことの重要性を痛感しました。また、「お客さまが本当に必要なものは何か」を考え抜き、融資以外の条件も提案したことで、私だけでなく支店全体の意識が変化。多角的なソリューションで、お客さまの課題解決により一層の貢献ができるようになったと思います。

今後の展望
銀行は人間力が全て。
信頼のパートナーになるために。
― 今後の展望についてお聞かせください。
当行は現在もベンチャーウイスキーとの関係性を続けています。私自身は異動して担当ではなくなりましたが、イチローズモルトのさらなる飛躍を願っています。そして私が目指すのは、お客さまにとって信頼できるパートナーとなることです。何か相談したいと思った時に、真っ先に私のことを思い浮かべていただけるよう、当プロジェクトの経験を活かし、世間話を含めてたくさんのコミュニケーションを取っていきたいと思います。
― 武蔵野銀行としてどのような価値をお客さまに届けていきたいですか?
銀行はモノを売る商売ではありません。銀行のビジネスでは人と人の関係性こそが、何よりも重要になると考えています。ですので、部下や後輩には人間力を鍛えられるよう、仕事も遊びも本気で取り組むよう伝えています。お客さまから「一生懸命動いてくれているな」と思っていただける銀行になり、かゆいところに手が届くソリューションをお届けしたいと思います。




